合理的配慮が必要な学生が履修している場合の対応
ユニバーサルデザイン化された遠隔授業
~障害のある学生がアクセシブルな遠隔授業に向けて~
障害や病気を有している場合、その種類及び程度に応じて、特に配慮を要する場合があります。また、従来の対面授業では特に困っていなかったものの、遠隔授業となったことで障害による困り感が顕在化した学生が少なからず存在します。
以下に、遠隔授業等において障害等に起因して生じやすい課題と対処法の案を提示します。障害や病気の有無に関わらず学べる授業のユニバーサルデザイン化(障害の有無にかかわらずアクセスしやすい環境設計)にも役立ちますので、遠隔授業を実施する際の参考にして頂ければ幸いです。
障害のある学生がすでに合理的配慮を申請している授業では、授業担当教員に配布される合理的配慮依頼文書の内容に基づいて対応を行っていただくようお願いいたします。
Ⅰ. 聞くことに困難さがある場合:聴覚障害・発達障害 等
◆生じやすい課題と対応案
1.通信環境によって音割れ等の音質不良の発生や、音声伝達にタイムラグが生じる
リアルタイム配信、オンデマンド配信
- ①カメラに向かって通常より「ゆっくり・はっきり」発話を心がける
- ②口元を見やすいようにマスクの使用を控える
- ③要点をチャットで共有する
- ④可能であればヘッドセットを利用する
2.視覚資料に掲載されていない音声情報を取得することが難しい可能性
リアルタイム配信
- ①講義資料はなるべく文字情報を多めにする
- ②音声認識ソフトでの文字起こしや、外部団体による遠隔文字通訳を活用する → 障がい学生支援室へご相談下さい
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オンデマンド配信
- ①講義資料はなるべく文字情報を多めにする
- ②動画教材には字幕を挿入する
- ③動画への字幕挿入が難しい場合、あるいは音声ファイルのみを提供される場合は、音声情報に対応する文字(読み)原稿を対象学生に提供する
・パワーポイント資料→ノート(メモ)機能に読み原稿を記載する
・音声ファイルのみの場合→wordファイル等で原稿作成し提供
Ⅱ.見ることに困難さがある場合:視覚障害・発達障害 等
◆生じやすい課題と対応案
1.パワーポイント等の視覚資料を使用する場合、視覚資料から情報を取得することが難しい場合がある
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2.PDF等のデータで授業資料を提供する場合、データ形式によって視覚障害等のある学生が使用するスクリーンリーダー(文字を音声読み上げするソフト)が使用できないことがある。
- 3.弱視の場合、文字が小さいと見えづらい場合がある
リアルタイム配信、オンデマンド配信
①学生が必要に応じてPCの読みあげ機能、拡大機能等を用いることができるように講義資料をテキストデータで提供
- ②図や画像には代替テキスト(簡単な説明文)を挿入する
- ・大きめのフォントを用いる
- ・指示語を用いず、資料のページ数、行数等、該当箇所を具体的に説明する
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- 4.色覚異常がある場合、文字色の区別が難しい場合がある
リアルタイム配信、オンデマンド配信
- ①強調色を用いるときは、赤と緑は見えづらいので、青やオレンジを使う
- ②色を多用せず、下線等の活用
- ③コントラストを強くしすぎない
- ・白い背景に黒字はコントラストが強く疲れやすい
例:白い背景には濃いグレー文字を使用/背景色を濃いグレーかクリーム色にする
- 5.視覚情報が多い場合は、どこに注目していいのか混乱することがある
- 6.指示語だと何を指しているのか分かりにくい場合がある
リアルタイム配信、オンデマンド配信
- ①注目するべき箇所に下線を引く
- ②指示語を用いず、資料のページ数・行数等、該当箇所を具体的に説明する
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Ⅲ. 動作に困難さがある場合:肢体不自由 等
◆生じやすい課題と対応案
1.上肢の運動に困難がある場合、専用の入力装置を用いていることがあり通常よりパソコンの操作や筆記に時間がかかる場合がある
2.発話がスムーズではない場合がある
リアルタイム配信、オンデマンド配信
- ①課題等の提出を求める場合は、十分な提出期限設定を行う必要がある
- ②対象学生に発言等を求める場合、発話が困難な学生の場合には、マイクだけでなくチャット機能を活用したコミュニケーションの方が学習にアクセスしやすい場合がある
Ⅳ. 試験時の配慮について
定期試験時において、授業受講時とは異なる合理的配慮を要する可能性もあります。各授業担当教員においては配慮依頼文書の記載内容に沿って、適切な評価方法をご検討ください。(例:試験時間延長、解答方法の変更など)。
Ⅴ. 学生からのリアクションがない場合
遠隔授業等の実施のあたっては、通常講義よりも煩雑となりやすいため、障害や病気の種類及び程度によっては、遠隔授業のスタイルに柔軟に対応できていない場合があります。受講学生から課題等の提出等のリアクションが見られない場合、早めに電子メールや電話、テレビ電話(skype、zoom、microsoft teams等)等で対象学生とコミュニケーションをとり、授業スタイルの理解や困り感を確認していただけると幸いです。必要に応じて障がい学生支援室にご相談ください。
Ⅵ. 障がい学生支援室における学生への対応
障害のある学生については、学生からの申請に基づき合理的配慮検討会に基づいた結果、個々の障害に応じた授業における配慮事項を整理した合理的配慮依頼文書を作成します。配慮依頼文書は、障がい学生支援室から、各授業担当の先生にメール等の電子形式で通知いたします
障害のある学生からの修学に関する相談については、現在は電話や電子メール、テレビ電話(skypeやzoom等)を中心に利用して行っています。必要に応じて、対面による相談を行う場合もあります。
【問い合わせ先】
琉球大学グローバル教育支援機構 障がい学生支援室
TEL:098-895-8750(内線8750)
FAX:098-895-8791
E-mail:g-support(@)acs.u-ryukyu.ac.jp ※(@)の( )を取り、メールを送信してください。
引用・参考資料
・新型コロナウィルス対策関連情報
https://ahead-japan.org/covid19/(一般社団法人 全国高等教育障害学生支援協議会)
- ・東京都立大学オンライン授業サポートページ〈教員用〉「合理的配慮が必要な学生が履修している場合の対応」
- ・琉球大学における障がい学生支援ポリシー
(以下、「
新型コロナウィルス対策関連情報(
https://ahead-japan.org/covid19/)より
https://moodle.sgu.ac.jp/mod/resource/view.php?id=94326&forceview=1
pdf版はこちらから