2019年12月9日、琉球大学50周年記念館にて「令和元年度沖縄バリアフリーキャンパス研究会」が開かれました。今回は就職活動支援をテーマに、教職員、学生、企業、保護者、学内外から80名を超える方々にご参加いただき、改めて就職活動支援への関心の高さを知る機会となりました。
株式会社ジェイ・ブロード大学担当取締役の川人誠さんは、講演の中で障がい学生の就職活動の現状をお話し下さいました。就職活動の流れを把握して意欲的に取り組んでいる学生の方が、結果を出しているという点においては、障がいの有無による違いが無いこと。また、ノーマライゼーションや法定雇用率の観点から企業は雇用をしたがっていて、一般学生の求人倍率1.83倍と比べて障がい学生の倍率はなんと6.19倍、その募集の多くが人気ランキングに名を連ねる企業とのことです。
しかしその一方で一般的な内定率をみると、障がいのある学生の方が低い現状にあり「障がい学生が積極的に活動できない理由」を川人さんは指摘します。自己分析、自分の障がいの状態を他人に伝えることの重要性、障がい者枠を上手に活用することを強調し、「発達障がいの方も今後必ず理解が広がる。皆さんパイオニアとなって実績を広げていってほしい」と学生へエールをお送りました。
NHK福岡放送局に勤めて人事を担当されている根木さんは、車いすユーザーでもある視点から、ご自身の就職活動や現職にあたる中での気づきをお話し下さいました。大学まで周囲の人間と分け隔て無く過ごし、就職活動をする中で「周りと同じ活動をしていて良いのだろうか」と初めて疑問を持ったと言います。そして、一番必要とする情報を得るには、障がい学生に特化したサイトを利用した方が良いことを悟ります。また、ご家族の身に起きたトラブルをきっかけに、“正しい情報を伝える仕事”を目指して、他業種にいくつか内定をとった段階で、志望先をマスコミ業界へと方向転換しました。
そんな紆余曲折する中で出会った、同じ境遇を持つ友人達は“戦友”であり、家族や障がいの無い友人たちとは違った理解のある存在だと述べます。また、学生には、出来ることと出来ないことの線引きをする重要性を強調しました。「伝える努力は義務です。自分の状態を話せる材料をどれだけ持っているか、どういう形でそれを伝えるか。私が面接官ならぜひ見たいポイントです」。
お二人のお話は、当事者や支援者にとって大変励みとなったのではないでしょうか。研究会をきっかけに、支援室では今後も、就職活動支援の充実をはかっていきたいと思います。また、研究会の内容は報告書にまとめる予定ですので、ご覧になりたい方は支援室へご一報下さい。